2010年にオースオラリアにて重度のパニック障害を発症。自然代替医療であるホメオパシーで治療を続けたところ、次第にスピリチュアルで不思議な体験をする様になる。2014年に壮大な一瞥体験をし、悟りの世界を垣間見るも、パニック障害は完治せず。その後、1000年以上も前の古いの先祖の魂たちの除霊へと展開してゆく。
現在も続いている真実の探求の実話。第8話
- 前回までの投稿はコチラ
水平線の彼方へ
シドニーの自宅には妻に支えられながらなんとかたどり着く事ができた。妻は、千鶴の面倒をみながらだったので、さぞかし大変そうだった。
自宅のベッドに倒れ込むように潜り込こんだ。スマホには職場の同僚からメッセージが入っていて、リストラがそろそろ発表されるとの事だった。
なんとか歩ける様になったので翌日出勤することにした。鏡に映った自分の顔は泥色をしていた。
冬の始まりである5月の下旬、外は肌寒く、コートが必要がくらいだった。カフェでチャイラテを購入し、8階に向かった。窓の外からはハーバー・ブリッジが見える眺めの良いオフィスだった。
オフィスは異様な雰囲気につつまれていた。座席につくなり、インド人の同僚が駆け込んできた。
「アカウンティング・チームは全滅だよ」と頭をかかえ嘆いていた。僕達が予想していたリストラよりもずいぶんと大掛かりなものだった、部署がまるごと消滅していたのだ。
僕の所属する部署も、9割が職を失ったが、僕は幸運にもこのリストラの波をから、生き残る事が出来た。
ほっと胸をなでおろすよりも、なんとか、このボートにしがみつかなければと、必死の思いだった。
チーム・ミーティングの時刻が近づいてきた。12時からアジアの各拠点を繋いで、電話会議がある。
開始の5分前にヘッドセットを付け、ダイヤルを始めた。既に、インド、シンガポールのメンバーが電話会議のブリッジに入っている。
「やあ、テリー元気かい?噂はもう広がっていると思うけど、シドニーのチームはボロボロだよ」僕は言った。
12時前には、全メンバーが揃ったので会議を開始した。プロジェクトの進捗状況について一人ずつ報告した。
僕の順番がまわってきた。ミュートボタンを解除して、懸案になっている事項について話を始めようとした。
口を動かし言葉を出そうとするのだが、言葉が出ない。僕のお腹にある沼の底に溜まっていたヘドロから、突如として得体の知れない黒くて巨大なものが浮かび上がってきた。
「ごめん、気分が悪いから、今日は退席させてもらうよ」
ヘッドセットをテーブルにおいた途端に、オフィスの椅子からずり落ちるように、床へ倒れ込んだ。
心臓がバクバクと鼓動し、黒くてどろどろとした塊が、僕の体をとらえたまま床へと引きずりこむのだ。
自分に何が起こっているのかもわからない。意識はあるのだが、とにかく、体が動かないのだ。
隣に座っていた、同僚で親友のルイスが幸いにも僕の異変に気づき、僕を介抱し救急車を呼んでくれた。
- 前回までの投稿はコチラ
Insipred by SeaZero